2015.9.14−9.26■小西乱土展−TOGETHER−

■略 歴
[作品について]
 
私は文字や記号をモチーフとして制作を続けている。現在は漢字や数字の作品を多く作っているが、それらの物質化の試みである。私の中に存在し続ける意味の「幻想」を、物質としての文字や記号の表現によって、造形的にあぶりだし、それらの意味を宙空に浮遊させる実験的作品である。
 
現在、急速に電子化している言葉と文字や記号の中に、自然の自己形成的絶対現象を現出させることにのみ興味がある。また、日々益々均質化してゆく言語記号によって侵略される私の精神を、少しでも解放し救済する試みに他ならないと言える。
 
私の遠い記憶にある世界との言葉以前の繋がりとして、風や光や水、土、樹木などを、心と体で無意識に体感し得た幼児期への回帰を、密かに目論んでいるのかも知れない。私にとっての言葉の再生であり、私の言葉によって出現する世界の再生であり、そして、今ここに存在する私という人間の再生の旅である

 
[画歴]
1951年 大阪に生まれる
1977年 全国大学版画選抜展 買上賞
      個展 ・ 竹川画廊(東京)
      多摩美術大学美術学部・絵画科卒業
1979年 多摩美術大学大学院美術研究科・絵画専攻修了
      グループ展 ・ 第七画廊(東京)
1989年 個展 ・ ギャラリー翔(神戸)
1995年 第8回吉原治良賞美術コンクール展
1996年 第25回現代日本美術展
2001年 個展・海岸通ギャラリーCASO(大阪)
2003年 第12回吉原治良賞美術コンクール展 優秀賞
2004年 第13回青木繁記念大賞公募展 奨励賞
2005年 第13回吉原治良賞美術コンクール展
      第14回青木繁記念大賞公募展
      天理ビエンナーレ2005
      第4回池田満寿夫記念芸術賞
2006年 第10回さかいでアートグランプリ <秀作賞>
      第14回プリンツ21グランプリ展2006
      第3回利根山光人記念大賞展
2007年 第25回上野の森美術館大賞展
      第4回棟方記念版画大賞展
      高津高校美術部+小西乱土・海岸通ギャラリーCASO(大阪)
2008年 第3回国際手書き文字ART展<大阪府知事賞>
      41回Ge展(大阪府立現代美術センター)
2009年 42回Ge展(京都市美術館)
2010年 別府アジアビエンナーレ2010(別府市美術館)
      Toyota Art Competition 2010(豊田市美術館)
      43回Ge展(京都市美術館)
      Print Composition 2010 多摩美術大学版画の40年(多摩美術大学美術館)
2011 Transnational Art 2011(大阪府立現代美術センター)
      K. Kough x 小西乱土展 ・ SoHo Art Gallery(大阪)
      個展(光の夢blue)・ 海岸通ギャラリーCASO(大阪)
2012年 45回Ge展(京都市美術館)
      第80回版画展(東京都美術館)
2013年 個展(R文字展@・乱流甲骨文字)・ 同時代ギャラリー(京都)
      楓100p.s.展・楓ギャラリー(大阪)
      個展(光の夢ー東北へー・A氏に捧ぐ・LEDインスタレーション)
・ 海岸通ギャラリー(大阪)
      個展(R文字展A ・乱流甲骨文字)・ アイギャラリー(大阪)
      個展(R文字展B・創作甲骨文字+光の夢 ・ ギャラリー西利(京都)
      Home Away From Home \ ・ TENRI Gallery(ニューヨーク)
      風と土のかたち展 ・ 伊賀市市民センター (三重 )
2014年 個展(R文字展C・創作古代文字)・ SoHoアートギャラリー(大阪)
      47回Ge展(京都市美術館)
      青森 print triennale(青森)
      柏原ビエンナーレ (大阪)
 
所属団体―美術家集団Ge

 
-追記
 
学生時代から文字や記号をモチーフにして実験的な作品を制作していたが、大きな転機となったのが、学生時代に出会った李禹煥氏。借り物で何となく居心地の悪かった現代美術(現代アートでは無く)が、自分にとってより身近なものになった。
あと斎藤義重氏や吉原治良氏にも大きな薫陶を受けている。
四十歳くらいから本格的に制作を開始した。
文字の物質的写真を大きくネコプリントやインクジェットプリントに拡大した作品やバーナーで文字を焼いた実験的作品など、電子文字が氾濫する現代に於いて、より物質的な特徴を顕在化させた文字表現である。また観念が物質として物に刻まれる絵文字、洞窟絵画、古代文字などにも非常に関心がある。
最近分かったことであるが、私は永い間ディスレクシア(難読症)で文字の読解が出来なかった。かなり今は改善されてきているようだが、文字の物質表現への拘りは、その辺に原因があるのかも知れないと思っている。
最近はインスタレーションを発表している。2011年の東日本大震災が、私にとっての二つ目の大きな転機ではないかと感じている。未曾有の大災害を前に何か発表しなければというのが正直なところであり、インスタレーションが表現スタイルとして適していた。それと、以前から自分のプライベートな領域での制作や発表に疑問を感じていて、より開かれた空間で何か出来ないかという事。それらからインスタレーションをやりだしたように思う。何にでも規範があり限界があるのは承知の上で、少しでも自分にとっての可能態を模索しながら制作していきたいと考えている。

 
最近のインスタレーション
  2011年―DREAMS OF BLUE (海岸通りCASO)、YOUTUBE
  2013年―DREAMS OF THE LIGHT FOR TOHOKU (海岸通りCASO)、YOUTUBE
  2014年―BLACK WAVE (柏原ビエンナーレ、古民家、浅野邸)