沖見かれん&加納明香■2022/06/04(土)-06/26(日)

「floating point」
沖見かれん&加納明香


2022年6月4日(土) - 6月26日(日)
12:00-19:00
(月火水休廊 最終日17時まで)
 
我々には経験することの出来ないことがたくさんあります。「死」はその代表的な一つです。しかし、それに対する思いは果てしなく脳髄を駆け巡り、多くの文学作品、絵画の主題となってきました。今回、二人の画家はあるテーマを設定しました。それは「floating point」であり、彼等の共通の主題です。二人は多くの作家が残した被膜を身に纏い、それを血肉化し、突き破り、自身の方法としながら、己の「襞」を発露しました。そのことは表現することの主要な過程です。有機体としての人間を「モナド」と措定したライプニッツは「単純実体」である人間の集合としての社会のなかで、多くの「モナド」が他者を内在化しながら存在しています。それを「包まれつつ、包む」と定義したのです。主語と述語の関係です。その相互作用により表現行為が実体となり、「場」が生まれ、「美」が発生するのです。そんな2kGの浮遊空間を楽しんでください。

[2kw gallery]


 



この度、関西を拠点に制作を行う沖見かれんと加納明香の2人による展覧会「floating point」を開催いたします。
 
沖見かれんは、蜜蝋を用いた半透明の絵具や油彩による綿布が透けて見える薄い塗り方などを用いて、目の前に広がる風景と自己の立つ場所の関わりを絵画に接続しようと試みてきました。モチーフとなる風景は作家自身の感覚を取り除くための様々な工程を経て繰り返し描かれます。今回の展覧会では、デカルコマニーの手法で現れる上下方向の中心線を軸にした《landscape》の作品を発表します。 
 
加納明香は、はかり知れないものが潜む場でもある風景への興味から、画面の範囲をこえて広がるような絵画空間を追究してきました。それは支持体の縁まで描かれることによって反映されています。画面では線や、絵の具のしみのようにも見える色斑といった要素から茫漠とした形が浮かび、独自の奥行きが生まれます。今回は新たに、補助線や色面などを設けた作品群を発表します。
 
今回の企画が決まった後、2人の作家はお互いのアトリエを訪問し、制作方法や思考について意見を交わしました。そこで主に絵に取り掛かる前の段階の風景を見る視線について、その違いにお互い興味を示しました。沖見は自分自身の目線を地点(point)として独自のルールによって客観的に風景を捉えようとするのに対して、加納は自身の立っている地点(point)を軸に全方向の知覚から風景を捉えようとしています。
 
異なる2人の現在の地点の融合した空間を、是非ご高覧ください。
 
沖見かれんは1991年和歌山県生まれ。京都在住。京都市立芸術大学大学院美術研究科修士課程絵画専攻在籍。主な個展に「水平線について」(ORIE ART GALLERY、2020年、東京)、「投射」(アートスペース虹、2017年、京都)、グループ展に「correspondances」(GURA STUDIO GALLERY、2021年、京都)「一の字 Vertical&Horizontal art exhibition」(ORIE ART GALLERY、2020年、東京)など。2016年京都文化博物館で開催された琳派400年記念新鋭選抜展にてゲーデ・インスティトゥート・ヴィラ鴨川国際交流賞受賞。
 
加納明香は1994年滋賀県生まれ、在住。2019年京都市立芸術大学大学院美術研究科修士課程絵画専攻修了。主な個展に「風景とサラウンド-Explorers-」(Gallery Valueur、2021年、愛知)、「加納明香 展」(Oギャラリーeyes、2019年、大阪)、グループ展にファン・デ・ナゴヤ美術展2020「ここに在ると言うこと」(名古屋市民ギャラリー矢田、2020年、愛知)、「Tourbillon16 part2」(Oギャラリーeyes、2018年、大阪)、など。