『深海の照らし方』北島曜・坂口裕美・高原秀平

2019年7月27日(土)− 8月18日(日)
12:00-19:00(最終日は17時まで)
休廊:月火水
 
「形相を有となし形成を善となす泰西文化の絢爛たる発展には、尚ぶべきもの、学ぶべきものの許多なるは云うまでもないが、幾千年来我等の祖先を孕み来った東洋文化の根抵には、形なきものの形を見、声なきものの声を聞くと云った様なものが潜んで居るのではなからうか。
我々の心は此の如きものを求めて己まない、私はかっる要求に哲学的根拠を与へて見たいと思ふのである。」これは、禅を通し日本の哲学の基礎を構築した、西田幾多郎(1870-1945)の言葉です。
彼は西洋哲学を受け入れながらも、それとは全く別の、東洋文化の思想や発想、感覚から生まれる哲学を試みました。
本展覧会は北島/坂口/高原による抽象画の展示です。
3人それぞれが、異なった向きと角度で制作をしていますが、共通して「眼には見えない何かを見据え、具現化する」ことを試みていると言えます。
それはそのまま西田の言う「形なきものの形を見、声なきものの声を聞く」という言葉と重なります。
現代において、東洋文化に独自性と可能性はあるのか。
それとも近代化に伴い、我々はすでに西洋の心を手に入れているのか。はたまたそれすら超えたグローバル化により、東洋/西洋という比較自体ナンセンスなのか。
3人のアプローチが異なるからこそ、それらが重なる空間は、この世界を見つめる新しい眼になると期待しています。
深海をやわらかいひかりで照らすように。
 
北島曜/坂口裕美/高原秀平
 



北島曜 | Yoh KITAJIMA
 
水に流された墨は自ずと広がり、やがて止とまり、歪な軌跡を残す。
その行為と痕跡の重なりは、どこか捉えどころのない確かさへ向けた問いである。
 
https://www.yohkitajima.com
1986 京都府出身
2014 京都精華大学大学院芸術研究科博士前期課程洋画専攻修了
2017 非在の庭最終章 The Garden of the Mind-The Final - アートスペース虹/京都
   「掃除と展示(オープンアトリエの作品展示に参加)」アトリエ/京都
   個展「見えざる輪郭 sightless outlines」アートスペース虹/京都
2014 個展 「眺む a view」Galleryはねうさぎ/京都
2012 「懐愛知県立芸術大学大学院×京都精華大学大学院合同展」常懐荘/愛知
 


坂口裕美 | Yumi SAKAGUCHI
 
私は、ものの印象や雰囲気、人の内面をある程度シンプルでニュートラルな形と
色を使って描いている。コンパスや定規による無機質な形のわずかな表情と、
色が持つ情感や詩情に可能性を感じる。
 
https://www.yumisakaguchi.com
1988 和歌山県出身
2015 京都精華大学大学院芸術研究科博士前期課程洋画専攻修了
2019「第9回 贈りもの展」ギャラリー恵風/京都
2018「八祭(はっさい)」ギャラリーハチ/和歌山
2014 個展「inner impression」京都精華大学7-23 ギャラリー/京都
2013「ART COM 2013 京都造形芸術大学×京都精華大学」
   けいはんな記念公園 水景園/京都
 


高原秀平 | Shuhei TAKAHARA
 
同じ行為を繰り返すこと。その過程で自然発生するルールを守ること。
そのルールを少し破ること。破ることで生まれる新しいルールで同じ行為を繰り返すこと。
このサイクルによって起こる知覚の更新を目的としています。
 
https://www.shuheitakahara.com
1990 兵庫県出身
2014 京都精華大学芸術学部造形学科洋画コース卒業
2019「高原秀平/前田正憲展」 飯田弥生美術館ギャラリー/東京
   個展「エーテルと細胞膜」 gallery301/神戸
2018「高原秀平/前田正憲展」 飯田弥生美術館ギャラリー/東京
2017 個展「雨景山水」 gallery島田/神戸
   「メエルシュトレエム」あをば荘・float/東京