岩村伸一・中井浩史「すじとたまり」■2022/10/01(土)-10/23(日)

岩村伸一・中井浩史
すじとたまり

会期:2022年10月1日(土)-10月23日(日)
時間:12:00-19:00 (最終日は17:00まで)
休廊:月・火・水曜日
 
アーティストトーク
10月1日(土)2kw galleryにて収録
 

すじとたまり


 
朝から降りしきる雨は午後に上がり、家に帰る道はぬかるんでいた。今のように整備された道などはほとんどなく、至る所に水溜りができている。通学路も決まってはいない。だからむかしの少年たちは、朝は花が咲くように大きく傘を広げ、帰りは棒のように丸めた傘で地面に筋を引きながら、好きな道を帰った。少し大きめの水たまりがあると、其処にしゃがみ込んで新たな筋を増やし、堤防を作り、池も作った。そんな寄り道と落書きをしながら帰った。その後、大人になった彼等は"すじとたまり"のホルモン焼きを楽しんでいる。これはこれで素晴らしいひと時かも知れない。隣の2kwGの空間では"すじとたまり"の展覧会がひらかれている。彼らの作品はロードローラでならされることもなく、独特の筆づかいで描かれ、冒頭の少年の落書きのようなおもむきがあり、ある懐かしさを感じさせる。そして、其処にはそこはかとない彼らのテーマが聞こえてくる。それは、具象でもなく、抽象でもない、拒絶でもなく、否定でもない、「否認」である。類型化に対する「否認」である。ただ、見る者に絵画そのものに留まってほしいのかも知れない。一切の言語化を否認して、また、終着駅に到着することも否認して、何処までも絵画を実現するために、しかし、そんなことは一切、認める気もなく、ただ描き続けている彼らの後ろ姿に「すじとたまり」が浮かびあがってくる。
 

2kw gallery