『透明』 石橋志郎・梶岡俊幸・谷内春子

新型コロナウィルス感染症の感染予防、拡散防止のため、3/7に予定しておりましたギャラリートークは中止させていただきます。
 
『透明』 石橋志郎・梶岡俊幸・谷内春子
 
2020年3月7日-3月29日
12:00-19:00(最終日17:00)
月・火・水 休廊
 
「透明」をテーマに三人の画家に展覧会を依頼しました。「透明」という言葉を自由に解釈していただき、各自の方法プラス「透明」というしなやかな設定です。しかし、画廊側はなぜ「透明」なのかを語らねばなりません。
画家は「透明になる。描かれた作品が、いま・ここ・現にあったとしても画家はまさしく「透明」になる。「透明」になることによって絵画空間が生成と消滅を繰り返す場となる。演劇、舞踏の舞台芸術が肉体の直観的表現行為であるのに対し、絵画は画家が培った感覚と見る人の日常感覚とが画廊空間で融合する芸術であり、その人間的感覚のエネルギーと外的現実のエネルギーが拮抗しながら、その両義性が画家を「透明」にする。そのことを彼らは無意識のうちに引き受けている。作品が画廊の壁面に展示され、その画面から発する揺らぎが波動となって空間を満たす。画家の感覚と観る者の感覚が空間に充満する時、そこには「見える全面」と「見えない背面」が一体 となりながら、未知なるものの発生を促す空間となる。視覚の「未規定性」が抽象と具象を超えた作品となり、それを観る人の体内で起こるリズムと感応して「名づけえぬもの」との出会が実「現する。
これはもちろん、画面が期待する最大のことかもしれません。感覚を言語に翻訳せず、ギリギリ のところを歩む作家の「透明」を感じてください。
(2kwgallery)
 
日本画の顔料には、鉱物などを砕いた岩絵具や、貝殻を原料にした胡粉、胡粉に着色を施した水干絵具などがあります。実際に作品を前にしないと感じ取ることのできないキラキラとした粒子感を持つことが特徴で、現代のデジタルな世界にあってはより一層その存在が際立つのではないでしょうか。
質感の元となる顔料の粒子の集積によって描かれた絵が、「透明な膜」となり、鑑賞者にやさしくしっかりと触れてくれればと思います。
(石橋)
 
形と形が重なったとき、あるイメージが浮かび上がる瞬間が訪れます。
そのイメージは、空間感覚を伴いながら変化し、現れては消え、また膨らんだり縮んだり、それは自由な空間を生み出していくのです。石庭の作庭にも通づるその感覚は、様々な風景を凝縮した「景」となって立ち上がることを目指していくようです。イマジネーションという透明な庭で遊ぶように、形や色を、矩形の中に閉じ込めたいと思っています。
(谷内)
 
日付の変わる深夜に一人水辺や山へ行きます。
月明かりや、雲に反射する町の明かりを頼りに、かすかに見える道を行きます。
夜の内向的な空間で、自分の足が地面を踏みしめる音や心臓の音、息遣いが予想以上に大きく聞こえてきます。
かすかに水が波打つ音、水や草木、土の匂い、湿った空気、木々が風で揺れこすれる音、虫の声や遠くから聞こえる動物の鳴き声。
それらは闇をまとったまま、小さな隙間を通過して、心の奥深くへ到達します。
闇に包まれた安堵感と共にアトリエへ戻ると、闇が体の中から湧きだして、画面を夜にしてくれます。
その闇の中で自分の体は溶けて消えて行くのです。
(梶岡)
 

石橋志郎 ISHIBASHI Shiro
略歴
1981 大阪生まれ
2007 京都市立芸術大学大学院
   修士課程美術研究科給画專攻修了
主な展覧会
2017「内接/外接」(+1art / 大阪)
2018「京都府新鋭選抜展2018 - Kyoto Art for Tomorrow-」
   (京都文化博物館/京都) -
2018 個展「空間、光」(ギャラリー恵風/京都)
2019「藝文京展EX つなぐ」(京都芸術センター/京都)
2019 個展「灰色と光」(カホ・ギャラリー/京都)
2019 個展「絵画と輝度」(ギャラリーあしやシューレ/兵庫)
 

谷内春子 TANIUCHI Haruko
略歴
1986 京都生まれ
2015 京都市立芸術大学大学院
   博士(後期)課程美術研究科絵画専攻日本画領域修了
主な展覧会
2013 個展「うたたねの眺め」(数寄和/東京、数寄和大津/滋賀)
2016「琳派400年記念新鋭選抜展」NHK京都放送長賞
   (京都文化博物館/京都)
2017「内接・外接」(+1art/大阪)
2017「ART 町家 STAY - ハレとケ -」(庵・筋屋町町家/京都)
2018「京都府新鋭選抜展2018 - Kyoto Art for Tomorrow-」
2018 個展「山について」(ギャラリー恵風/京都)
2019 シェル美術賞2019 入選(国立新美術館/東京)
プロジェクト
2015-2016 天若湖アートプロジェクト襖絵プロジェクト(南丹市)
 

梶岡俊幸 KAJIOKA Toshiyuki
略歴
1978 東京生まれ
2005 京都造形芸術大学大学院
   修士課程芸術研究科芸術表現専攻修了
主な展覧会
2002 第2回トリエンナーレ豊橋星野眞吾賞展優秀賞
   (豊橋市美術博物館/愛知)
2005 META展へ参加(神奈川県民ホール/横浜) ~現在
2009 個展art-life+vol.11「The Birth Canal-未来へのうねり」
   (スパイラル/東京)
2009個展「黙視」(masayoshi suzuki gallery/愛知)
2011「Trans-Plex」(關渡美術館/台北)
2011「ART TAIPEI 2011」
   (Taipei World Trade Center/台北)同~14.
2011「ART STYLE TOKYO」(Q|b Studio/台北)
2013 個展(G/P+g3/gallery/東京)」
2014「日常/オフレコ」(KAAT神奈川芸術劇場/横浜)
2015 第6回東山魁夷記念日経日本画大賞展 入選
   (上野の森美術館/東京)
2016 The 2016 Sovereign Asian Art Prize Finalist
   (Christie's?One Exchange Square/香港)同18,
2019 [SUMIEJ (SEIZAN gallery / New York)
2019 [Seattle art fairj (CenturyLink Field Event Center / Seattle)