2017.10.19−11.19■Dribble 2

第1期・10月19日(木) - 11月19日(日) 「中屋敷智生・松田啓佑・馬場佳那子」
第2期・11月23日(木) - 12月24日(日) 「水田寛・池谷保 ・前川祐一郎」
 

 「Dribble」は、画家・中屋敷智生の呼びかけから始まった、アーティストが主導する展覧会である。
“ドリブル”というその名の通り、中屋敷は自身と同じく京都を拠点にする水田寛にボールをパスし、さらに水田は松田啓佑へとつないで、三人の画家はチームを組み、昨年2月に小さな企画を立ち上げた。大阪にあった2kw galleryの展示室に並んだ三人の作品は、空間を明確に区切ることなく、かといって、互いに関連し合うモティーフや様式を見せるわけでもなかったが、三人の間に横たわる信頼や尊敬の念がその場を満たし、心地よい空気が流れていたのを思い出す。
 映像やインスタレーション、パフォーマンスが先行する現代美術の世界において、あえて絵画に取り組もうとするアーティストはどれほど強い意志を持っているのかと、つい想像を逞しくするが、彼らは愚直なまでに、ただ絵画という古くからある表現様式を愛し、その伝統に連なろうとしているだけなのだろう。その絵画への深い愛情は、キュレーターである私自身にも重なるものである。平面の上でしか生まれ得ないイリュージョン、絵具の色やテクスチュア、対峙しながら交信を続けることで結ばれる、見る者との親密な関係。それらは、やはり絵画にしかない醍醐味であり、いかなる時代にも人は絵を描き、絵を見ることで、何かを受け取ってきたのがよくわかる。想像力、創造力がともに貧困化した今だからこそ、絵画の意義はより真摯に問われるべきなのである。
 二回目の開催となる「Dribble 2」では、馬場佳那子、池谷保、前川祐一郎の三名が、初回の三人にくわわり、チームメンバーは6名に増えた。ドリブルはより激しくなり、盛んにパスを交わすのか。ひとつのゴールにみなで向かっていくのか、それとも思いもよらぬ方向にボールは逸れていってしまうのか。そうしたハプニングの可能性をも孕む「Dribble」の行く末を楽しみに待ちたい。
 

林 寿美(インディペンデント・キュレーター / 国立国際美術館客員研究員 )
 

中屋敷 智生 / NAKAYASHIKI Tomonari
 
1977 大阪府生まれ
2000 京都精華大学美術学部造形学科洋画分野卒業
 
<主な個展>
2014 Surge (KOKI ARTS / 東京)
2013 Alive (Gallery Den mym 本館 / 京都)
2012 Big Day Coming (Gallery PARC / 京都)
 
<主なグループ展>
2017 韓日藝術通信 Part 2 Cross Point (忠北文化会館 森の中ギャラリー / 韓国)
2017 Big Sensation (Gallery Den mym / 京都)
2017 1.Certains Regards ? ある視点 (兵庫県パリ事務所 / パリ)
2016 Winter Show (KOKI ARTS / 東京)
2016 韓日藝術通信 (アートスペース嵯峨 / 京都)
2016 Dribble (2kwギャラリー / 大阪)
2015 玄玄天 2015 -いわきの空から宙をみる- (もりたか屋 / 福島)
2015 Visual Sensation Vol.6 (Gallery Den mym / 京都)
2014 世界の再魔術化 (2kwギャラリー / 大阪)
2013 Kyoto Current 2013 (京都市美術館別館 / 京都)
2013 京芸 Transmit Program #04 Kyoto Studio (@KCUA / 京都)
2013 溶ける魚 つづきの現実 (ギャラリーフロール, Gallery PARC / 京都)
2012 アブストラと12人の芸術家 - HER NAME IS ABSTRA - (大同倉庫 / 京都)
2012 FUKUSHIMA ARTプロジェクト × 福島∞京都 (元立誠小学校 / 京都)
2010 IWAKI ART TRIENNALE 2010 (いわき市 / 福島)
 
・コメント
 フェンス越しに臨む海や、誰かが設えたプランター群。これらは、私が実際に居合わせた光景から、物語性や意図を排除した場面を取捨選択して描いたものです。レアリズムの観点からすると、収まりが悪い凡庸な光景に見えるかもしれません。しかし、私はこれらの取り立てて言うことのない光景に絵画が呼吸する余地を見い出し、それらに端を発したイメージや色面を等価に描き、空間上のヒエラルキーを解体することで、「再認する視覚」と「見る視覚」とが表裏一体となったアンビバレンツな表現を探求しています。
 

  松田 啓佑 / MATSUDA Keisuke
 
1984 群馬県生まれ
2009 京都市立芸術大学大学院美術研究科絵画専攻油画修了
 
<主な個展>
2017 目と鼻 (eN arts / 京都)
2016 UNREVIVABLE (eN arts / 京都)
2015 STABILIZATION 3 (eN arts / 京都)
2014 STABILIZATION 2  (トーキョーワンダーサイト渋谷 / 東京)
2014 STABILIZATION (eN arts / 京都)
2013 STRAIGHTFORWARD (eN arts / 京都)
2012 WORDS LIE V (eN arts / 京都)
 
<主なグループ展>
2017 VOCA展 2017 (上野の森美術館 / 東京)
2016 “I’ve felt like this somewhere before.” (GALLERY MIKAWAYA / 愛知)
2016 Dribble (2kw gallery / 大阪)
2012 ドローイング レッスンズ (Galerie Aube 京都造形大学 / 京都)
2011 絵の展示 (清雲荘 / 京都)
2009 アートアワードトーキョー2009 (アートアワードトーキョー丸の内 / 東京)
 
・コメント  現実から受けるイメージは次々に更新されますが、そのこと自体や見えないものも含めた目の前の現実から受けるイメージを絵に変換しようとしています。
最近絵を描く時には、イメージした途端絵に変換するのではなく、よりはっきりしたイメージとなってから変換するように意識しています、そうすることで多様な表現方法で率直に絵に変換できそうです。
 

馬場 佳那子 / BABA Kanako
 
1988 滋賀県生まれ
2010 京都精華大学芸術学部造形学科洋画コース 卒業
2012 京都市立芸術大学大学院美術研究科修士課程絵画専攻油画 修了
 
<主な個展>
2017 地盤 (colissimo / 兵庫)
2016  馬場佳那子展 (ギャラリー16 / 京都)
2012 セット (児玉画廊 / 京都)
2011 ここにあるボリューム (京都市立芸術大学小ギャラリー / 京都)
 
<主なグループ展>
2016 作品中!アゲイン (ギャラリー16 / 京都)
2014 “atelier 9”open studio exhibition (atelier 9 / 京都)
2014 FINE ART 新進芸術家育成交流作品展 (筑波大学 / 茨城)
2013 三人展 (7?23ギャラリー京都精華大学 /京都)
2012 ignore your perspective 17 HIGH LIGHT2012/2013 (児玉画廊 / 東京 )
2012 ignore your perspective14 四角と不条理 (児玉画廊 / 東京) 
2012 視域 (7−23ギャラリー京都精華大学 / 京都)
2012 作品中! (ギャラリー16 / 京都)
2010 蓄積による軽さ (ギャラリー16 / 京都)
2010 DON’T FREEZE (くずはアートギャラリー / 大阪)
 
・コメント
絵と登山
絵は長丁場になればなるほど、完成までに繰り返し行き詰まってしまいます。そういった時には、手をとめて画面全体を観察し、次の道を頭の中で想定し動き出します。
一歩一歩を感覚で確かめながら描き進めた結果。自分の意識を越えたところに絵が行き着くことがあります。それは自分よりも遥かに大きなものを感じ、一歩一歩の時間を充たしてくれます。